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奨学金の返済が困難な場合に債務整理は可能?対処法などをご紹介

奨学金のドル紙幣の札束の上の博士帽

 

文部科学省の調査によると、2021年度の大学・短大の進学率は過去最高の58.9%となっており、年々上昇傾向にあります。そんな中、大学生の約半数が奨学金を受給しており、何らかの理由で返済が困難になる人の増加も容易に想像できます。

 

返済期間が長いことで、社会情勢や個々の状況の変化などの影響などもあり、すべての人がスムーズに完済できるとは限りません。今回は、奨学金の返済が困難になった場合の対処法について解説します。

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奨学金の返済が滞ったらどうなる?

奨学金の返済が止まると督促が始まります。文書や電話で連絡があり、それでも支払いをせずにいると、3カ月後には信用情報機関に登録、つまりブラックリストに載ることになります。

 

そして4カ月後に債権回収会社(サービサー)へ委託。9カ月後には、法的な手続きが行われる可能性があり、人的保証の場合は保証人にも通知されます。機関保証であれば、公益財団法人日本国際教育支援協会が代位弁済をした後、一括請求されることになります。

救済措置の利用を検討

何らかの理由で返済ができない場合は、救済措置がありますが、利用するには、それぞれ収入等の基準を満たしている必要があります。

減額返還

災害、傷病、経済困難、失業などで経済的に困窮している場合に、月々の返済額を減額することのできる制度です。最長で15年(1回の願出での適用期間は12か月)、返還額は元の金額の2分の1または3分の1となりますが、月々の返済額は減っても返済期間が延長されますので、返還総額は変わりません。

 

利用する人の条件として、会社員などの給与所得者は年収325万円以下、給与所得者以外は年間の所得(収入から経費を差し引いた金額)が225万円以下である必要がありますが、延滞している場合は利用できません

返還期限猶予

災害、傷病、経済困難、失業などで経済的に困窮している場合に、返済を猶予してもらえる制度です。最長で10年(1年ごとに手続きが必要)の延長が可能。利息などが加算されることはないため、返還総額は変わりません。利用する人の条件として、会社員などの給与所得者は年収300万円以下、給与所得者以外は年間の所得(収入から経費を差し引いた金額)が200万円以下である必要があります。

債務整理をする場合

解決法の選択肢として債務整理もありますが、保証人への影響が大きいので慎重に検討しましょう

奨学金以外にも債務がある場合

債務整理のひとつである「任意整理」は、整理をする対象の債権者を選ぶことができます。そのため、任意整理で奨学金以外の債務の利息をカットできれば、月々の支払額を減らすことができます

債務が奨学金のみの場合

奨学金は、金利が低い上に支払期間が長期に及ぶため、任意整理をしてもあまりメリットがありません。債務整理をするとすれば、債務が10分の1に圧縮される「個人再生」か、すべての債務がゼロになる「自己破産」の検討が解決の糸口となるかもしれません。しかし、機関保証ではなく人的保証の場合は、保証人である親や親戚に請求がいくため迷惑がかかってしまいます

まとめ

奨学金を滞納すると、ブラックリストに載ったり、保証人に迷惑をかけることになります。奨学金の返済が困難な場合は「減額返還」や「返還期限猶予」といった制度がありますので、延滞する前にすみやかに手続きをしましょう。

 

債務整理を検討する場合、奨学金以外にも債務がある場合は「任意整理」を、奨学金のみであれば「個人再生」や「個人破産」も可能ですが、機関保証ではなく人的保証の場合は、どちらにしても保証人に迷惑がかかります。当然、信用情報にも傷が付きますので、慎重に検討するようにしましょう

 

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